更年期が原因かも!60代以降に増える夫婦間のモラハラとその対処法
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2025.1.8更新
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60代以降の夫婦間で、モラルハラスメント(モラハラ)が問題化するケースが増えています。特に、更年期における心身の変化がモラハラの要因となることが少なくありません。というのも、更年期にはホルモンバランスの乱れや、定年退職や子どもの独立といった生活環境の変化が重なり、夫婦関係に影響を及ぼすことがあるのです。
本記事では、更年期がどのようにモラハラに影響を与えるのかを解説し、その具体例や背景、対処法について詳しく紹介します。60代以降の夫婦関係を見直し、より穏やかで安心できる関係を築くためのヒントをお届けします。
モラハラと更年期の関係
更年期は、身体的な変化とともに心理的な影響も大きい時期です。男性も女性もホルモンの分泌量が変化し、イライラや不安感が高まることがあります。
男性更年期では、テストステロンの減少が原因で、疲労感や気力の低下、不安感や怒りっぽさが現れることがあります。また、退職後の喪失感や社会的な役割の変化が、自信の低下や苛立ちを引き起こし、それが妻に向けられることがあります。
女性の場合、エストロゲンの減少により感情の起伏が激しくなることがあります。また、子どもの独立や夫の退職に伴い、家庭内での役割が変化し、孤独感やストレスを感じることも多いです。
更年期におけるモラハラの具体例
更年期の影響による夫婦間のモラハラの具体例として、次のような行動が挙げられます。
モラハラの中でも最も典型的な例が、言葉による攻撃や否定です。相手の考え方や行動を否定する言葉が繰り返されることで、精神的に大きなダメージを与える行為です。
- 「お前/あなたは何もできない」
- 「そんなことも知らないの(か)?」
- 「昔はもっと良かったのに」
- 「何をしても役に立たない」
これらの言葉は、一見して「注意」や「助言」のように見えることもありますが、繰り返されることで相手に精神的なダメージを与えることになります。
モラハラの中でも最も典型的な例が、言葉による攻撃や否定です。相手の考え方や行動を否定する言葉が繰り返されることで、精神的に大きなダメージを与える行為です。
- 妻が疲れたと訴えた際に、「それくらいで疲れるなんて甘えている」と言う。
- 夫が不安を口にした際に、「そんなの気にしなくていい」と軽く流す。
- 相手が悲しみを表現すると、「そんなことで泣くなんておかしい」と非難する。
感情を否定され続けると、相手は「自分の気持ちを理解してもらえない」と感じ、孤独感が増していきます。
60代以降になると、退職などによって夫が家庭で過ごす時間が増え、家庭内の役割が変化することがあります。この変化がきっかけで、家事や生活に対する支配的な態度が顕在化することがあります。
- 「こんな掃除の仕方ではダメだ」と家事のやり方に細かく口を出す。
- 「食事はもっとこうするべきだ」と料理に過剰な指摘をする。
- 「俺が稼いできたお金なんだから、もっと節約しろ」と経済的な制約を強いる。
こうした支配的な言動は、妻の自主性や家庭内での役割を否定する形となり、心理的なストレスを増大させます。
無視や冷たい態度は、モラハラの中でも受けた側に孤独感を与える典型的な行動です。特に60代以降の夫婦では、お互いにコミュニケーションが減少し、問題があるときに向き合わず無視することで問題が悪化するケースが多いです。
- 話しかけても返事をしない、あるいは生返事で済ませる。
- テレビやスマホを見ながら、相手の話を意識的に無視する。
- 話し合いを求めても「そんなことはどうでもいい」と遮る。
無視されることで、相手は「自分には価値がない」と感じるようになり、精神的なダメージが蓄積されていきます。
退職後の年金や退職金を家計にどう活用するかを巡って、夫が主導権を握るケースも見られます。この経済的な支配は、妻の自由を奪い、精神的な負担を増やす要因となります。
- 妻が自由に使えるお金を制限し、「これは必要ない」と支出を細かくチェックする。
- 「俺が稼いだ金だから」と、家計のすべてを管理し、妻に決定権を与えない。
- 妻が趣味や外出に使うお金を「無駄遣いだ」と批判し、行動を制限する。
夫婦の生活が中心になる年代では、相手の交友関係や家族とのつながりに干渉するモラハラも見られます。
- 「あの友達とは会わないほうがいい」と友人との関係を制限する。
- 家族や子どもとの電話や会話に「無駄話だ」「俺に相談しろ」と介入する。
- 外出を控えるように促し、「家にいるべきだ」と家庭内に閉じ込めようとする。
更年期によるモラハラの背後にある心理や背景
60代以降の夫婦におけるモラハラには、ライフステージの変化に伴う以下のような心理や背景が隠れていることが多いです。
- 喪失感や孤独感:長年仕事を中心に生活してきた男性は、退職後に社会的役割を失ったように感じることが多くなります。自分の存在意義を見失うことが、苛立ちや攻撃的な態度につながることがあります。
- 支配欲求:失った自信を取り戻すために、家庭内で支配的な態度やパートナーへの否定的な言動を通して、優越感を得ようとします。
- ストレスの蓄積:介護や家事、夫の退職後のサポートなどによる負担が増え、自分の時間を持てなくなることで、ストレスが溜まっていくことがあります。
- 孤独感:子どもの独立や夫の冷たい態度が重なることで、精神的な支えを失い、心理的に追い詰められていくことがあります。
- 感情の爆発:長年にわたる夫婦関係の中で感情を抑え込んできた結果、ストレスが限界を超えてくることもあります。
これらの心理的要因が重なることで、夫婦間のモラハラが助長されていくのです。
更年期によるモラハラを防ぐためのヒント
夫婦間でモラハラを防ぐためには、更年期についての理解を深めることが重要です。
更年期に伴うホルモンバランスの変化が、身体的・精神的な不調を引き起こすことを知りましょう。男性更年期(LOH症候群)や女性更年期の具体的な症状(イライラ、不安感、倦怠感など)を学び、互いの情報を共有し、共感できるようにします。医師やカウンセラー、書籍や信頼できるウェブサイトなどを参照しましょう。
イライラしたときには深呼吸をする、日記に気持ちを書き出すなど、感情を抑える習慣を身につけましょう。また文字に起こすことは、自分の感情を整理し、相手に伝える際に冷静さを保つことにも役立ちます。また自身の努力だけでは難しい場合、服薬について医師に相談すうことも必要です。
日常的に「ありがとう」「助かったよ」と感謝の言葉を交わすことは、お互いにポジティブな影響を与えます。また「あなたはいつもそうだ」ではなく、「私はこう感じている」という「I(アイ)メッセージ」の形で自分の気持ちを伝えることで、相手が防御的にならずに話を聞いてくれやすくなります。
ウォーキングや軽いストレッチ、ヨガなど、体を動かす活動を一緒に行うことで、ストレス発散と健康維持が期待できます。栄養バランスの良い食事を取ったり、睡眠の質を改善したりすることも、健康維持と更年期症状の改善に大いに役立ちます。
モラハラを受けたときの対処法
モラハラを受けた場合は、次のような方法で自分を守りながら対処しましょう。
感情的に反応せず、冷静に相手の言動を受け流すことで、トラブルを拡大させない。
信頼できる友人や家族、カウンセラーに相談し、第三者の視点を取り入れることで問題を客観的に捉えられるようにします。
モラハラが深刻な場合は、弁護士や支援機関に相談し、法的なサポートを得ることも検討します。
夫婦関係を修復するための具体的なアプローチ
モラハラを乗り越え、夫婦関係を修復するためには、お互いに歩み寄る姿勢が必要です。
夫婦カウンセリングでは、お互いの感情やニーズを冷静に理解し、建設的なコミュニケーション方法を学ぶことができます。
趣味や旅行など、夫婦で楽しめる活動を取り入れることで、関係性を改善するきっかけを作ります。
無理のない範囲で家事や生活の役割を分担し、お互いの負担を軽減することも大切です。
夫婦で過ごす時間だけでなく、それぞれが自分の趣味や自由な時間を持てるように配慮しましょう。
まとめ:更年期に気づき、より良い夫婦関係を築くために
60代以降に現れたり、激しさを増したりする夫婦間のモラルハラスメントは、更年期や生活環境の変化が影響している場合がほとんどです。しかし、正しい知識と対策を取り入れることで、関係性を改善し、穏やかな老後を迎えることもできます。
モラハラに悩んでいる場合は、ひとりで抱え込まず、専門家や信頼できる人に相談することを忘れないでください。夫婦で向き合い、協力して関係を再構築することで、より健全で安心できる家庭環境を築くことが可能です。