LGBTQIA+カップルが抱える困難とサポート体制
執筆者:COBEYA編集部
2024.3.5更新
LGBTQ+カップルが抱える困難は、ストレートのカップルと比較して多岐にわたる可能性があります。これらの困難を2人だけで乗り越えるのは、とても骨の折れる作業です。適切にサポートを受けたり支援機関に接続したりすることで、課題を克服していくことが大切です。
LGBTQIA+カップルが直面する可能性のある困難
LGBTQIA+の人々がパートナーシップにおいて直面する可能性のある課題は数多くあります。これらの中には、LGBTQIA+に特有のものもあれば、すべての人間関係に当てはまるものもあります。
LGBTQIA+特有の問題
- スティグマ:世界のいくつかの場所では、残念ながらLGBTQIA+に対する差別や偏見が未だに存在しています。そのためLGBTQIA+の人々がパートナーシップを形成し維持する上で、家族や職場、子どもの学校などからの理解を得づらい場合があります。そのために自分たちの関係をオープンにすることが難しくなり、必要なときに助けを求めづらくなる可能性があります。
- 法的保護の欠如:LGBTQIA+のパートナーシップに対する法的な保護がないことも課題となっています。例えば、結婚・住まい・医療機関の受診・養子縁組・代理出産・親権・相続などに関して、LGBTQIA+は異性愛者のカップルと同じ法的権利や保護を受けられずにいます。
パートナーシップ全般に関する問題
- コミュニケーションの問題:コミュニケーション不足は、多くのカップルに共通する問題です。コミュニケーション不足がもたらす誤解や行き違いは、カップル間の衝突を引き起こす可能性があります。
- 価値観や目標の違い:それぞれの価値観や目標、優先順位の違いにより、対立や緊張が生じることがあります。
- セックスの好みや愛情表現の違い:愛情表現の仕方やセックスのやり方において、双方が異なるニーズや好みを持っているかもしれません。それが相手からの愛情不足のように感じられ、問題となる可能性があります。
- 家庭における役割や責任に対する考え方の違い:家事や育児、金銭管理など、家庭の運営方法に関する意見の相違は、パートナー間の対立の原因になることがあります。
- 性格やコミュニケーションスタイルの違い:性格やコミュニケーションスタイルが異なるために、お互いを理解し、信頼関係を築くのに時間と努力が必要となることがあります。
- ストレスや外的圧力:仕事や他の人間関係、経済的なストレスなどの外的要因が、パートナーシップに負担をかけ、対立の原因となることがあります。またLGBTQIA+の人々は、異性愛者の人々と比較して2倍以上精神的な健康状態が悪化している可能性が高いという調査結果*もあり、個人が抱えるメンタルヘルスの不調がパートナーとの関係性に影響を及ぼす可能性があります。
LGBTQIA+カップルのためのサポートシステム
LGBTQIA+のカップルのために、それぞれのニーズや状況に応じた様々な相談先が存在します。サポート源として考えられるのは、以下のような場所や人々です。
- 友人や家族:友人や家族がLGBTQIA+の関係を支持してくれる場合に、性的指向の枠組みを超えて2人をよく理解してくれる身近な人は、良きサポーターとなります。
- LGBTQIA+に理解のあるカウンセラー:LGBTQIA+の相談経験があるカウンセラーは、彼らが抱える困難や状況を理解し、偏見なく関係性をサポートすることができます。またカウンセラーは相談を受けるだけでなく、コミュニケーションの問題を解決する具体的な方策の提案をすることができます。
- LGBTQIA+に特化した支援団体や相談窓口:日本各地にLGBTQIA+に特化した様々な支援団体があり、LGBTQIA+当事者が他の人とつながり、自分たちの経験を共有したり助け合ったりするための安全な場所を提供しています。その中にはやカップル間の相談を受け付けている機関もあり、アドバイスやサポートの大きな情報源となりえます。これらはNPOなどが運営するものや、自治体が運営するものなどがあります。例えば、東京都はTokyo LGBT相談専門電話相談という窓口を設けています。
- LGBTQIA+に詳しい法律家:結婚や養子縁組、差別などに関する法的問題に直面しているLGBTQIA+カップルのために、弁護士や人権擁護活動を行う団体職員などの専門家が、これらの問題について法的な助言や指導をすることができます。例えば東京弁護士会では、セクシュアルマイノリティに関する無料の電話相談を定期的に受け付けています。
- 同性パートナーシップ証明制度を採用する自治体:東京都渋谷区をはじめ、日本には同性パートナーシップ証明制度を導入する自治体が100以上あります。同性パートナーシップ証明制度とは、同性同士のカップルを婚姻に相当する関係と認め証明書を発行する制度です。これにより、同性カップルが婚姻関係にある夫婦と同様の支援を受けられるようになっている自治体もあります。
LGBTQIA+カップルに最適なアドバイスやサポートは、それぞれのニーズや状況によって異なるため、さまざまな資源を調べて、自分たちにとって最も役立つサポートを見つけることが必要です。