カップルセラピーを成功させるために取り組みたい7つのこと
2024.3.5更新
カップルセラピーを受けるにあたり、問題解決までの期間や費用を明らかにしておきたいと考えるのは当然のことです。できる限り1回ごとのセラピーの質を上げ、早期に課題を解決するために取り組みたい7つのことを、2つの側面から解説します。
カップルセラピーの平均的な回数
AAMFTによると、カップセラピーの平均的なセッション数は12回です。ただしカップルの課題や状況によってもセッションの回数は大きく異なり、約3割のカップルは20回以上、さらに1割は50回以上セッションを行なっています。
セッションが長引く要因としては、以下のようなことが挙げられます。
- メンタルヘルスの問題やトラウマなど、多層的・複雑な課題を抱えている
- セラピーへの取り組み方が十分ではない
- カウンセラーがわざとセラピーを長引かせようとしている
- 問題の再発防止・良好な関係維持を目的に、定期メンテナンスとしてセラピーを受けている
2や3のような状態を招かないために、クライアントは状況をある程度コントロールする必要があります。どのようにすれば良いのでしょうか?
セラピーに正しく取り組むためのポイント
カップルセラピーは、まさにチームプレーです。スポーツ、ビジネス、どのような場面でも、チームの成功は明確な目標設定・コミットメント・継続によって実現します。パートナーがお互いにそれを理解し実践することは、一人よりも難しい面があるかもしれません。しかしパートナーが敵対関係ではなく協力関係になることで、セラピーの効率ははるかに改善し、目的が早くに達成される可能性が高まります。
- 共通のセラピーの目的を設定する:カップルセラピーに取り組む際においての最重要事項です。目的はカウンセラーとパートナーの三者を繋ぐ、最も強力な接着剤の役割を果たします。またこれはパートナー同士にとって同じものである必要があります。例えば、一方が関係の修復を目的としていながらもう一方が離婚を目的としている場合、セラピーは機能しません。セラピーの目標は「関係性の中で問題となっていることを特定し、それを解決すること」や「お互いをもう一度愛する方法を確かめ合う」といったような、双方の努力によって得られるものである必要があることを忘れないでください。
- セラピーに集中する
:例えばパートナーのどちらかがカウンセラーから与えられた課題に取り組まなかったり、カップルセラピーの最中に別のことを考えたりしていれば、セラピーの効果は十分に得られません。特にパートナーの一方がもう一方に無理矢理セラピーに連れてこられたような場合に、このような事態が起きることがあります。その背景には、目的への達成意欲が低かったり、セラピーへの不信感が存在していたりすることなどが挙げられます。あるいは、セラピーを受ける環境が悪いのかもしれません。
カウンセラーは恐らく、何が起きているのかを理解しています。そのときカウンセラーに正直な気持ちを打ち明けることを躊躇わないでください。カウンセラーは丁寧に説明をしたり、心情に理解を示したりするはずです。場合によっては、個別のセラピーを設定することもあります。心をオープンにし信頼し合うことが、セラピーを機能させる上では欠かせません。 - セラピーを続ける
:セラピーは1〜2週間に1回の頻度で受けることが望ましいとされています。しかしその過程では、認めがたいことを自覚したり、現状を変えたりすることに対する不快な気持ちや拒否反応を起こしてしまうこともあるでしょう。全く二人の関係が進展していないように感じられる時期もあるかもしれません。また一時的にカップルの関係が良好になる場合もあります。これらはすべて、セラピーへの意欲を失わせる要因となります。
セラピーはフィジカルトレーニングと同じです。大切なのは、一定の頻度で続けること。設定した目標を達成していなかったり、関係性がまだ不安定だったりするうちは、必ず定期的にセラピーに通いましょう。
信頼できるカウンセラーか見極めるポイント
カップルセラピーの目的は、クライアントの目標達成です。それ以外のこと(例えばカウンセラーの金銭的なメリットを優先することや、カウンセラー自身の心の問題をクライアントに投影すること)を重要視するカウンセラーは、良いカウンセラーとは言えません。しかし手術が必要な患者が腕の良い外科医を見つけることが極めて難しいのと同じように、特にカップルセラピーを初めて受ける人にとって、誠実で実力のあるカウンセラーを見つけることは容易ではありません。
しかしながら、リスクを軽減することはできます。以下は最低限のアイディアです。
- カウンセラーの資格や経歴を確認する:日本の心理業界には様々な資格が存在します。中には、ほとんど臨床経験がないにも関わらずカウンセラーを名乗ったり、根拠に基づかない方法でセラピーを行なったりするカウンセラーも存在します。カウンセラーがどこでどのような理論を学び、それをもとにどのようにセラピーを行ってきたのかは、資格と経歴を確認することである程度明らかになります。経歴に関しては積極的に開示していないカウンセラーもいますので、初回セラピーの際に尋ねてみることも検討してください。信頼できるカウンセラーの資格を確認するには、こちらの記事も参考にしてください。
- カウンセラーの評判を確認する:これは一見難しいことかもしれません。なぜならそういった情報はオープンになっていないことや、あるいは腕の良し悪しと相性の良し悪しを混同した評判も存在するからです。最も信頼できる方法は、信頼できる友人や知人の紹介を受けることです。
- 5回の猶予を与える:貴重な時間とお金を5回ものセラピーに費やすなんて、と考えるかもしれません。しかし毎週セラピーを受けるとすれば、5回のセッションは1ヶ月で完了します。人生を大きく変えるかもしれない出来事を前に、それだけの時間とお金を費やすことを許可してください。5回のセッションの間に、カウンセラーがはっきりとした目標を設定しなかったり、曖昧な態度をとるなど不誠実な態度をとったり、あるいはセラピーを受ける前からパートナーとの関係に何の変化も感じられないようであれば、そのカウンセラーは適切ではありません。
- 10回目には振り返りをする :カップルセラピーの平均的なセッション回数が12回であることを考えると、10回目のセッションまでには何かしらの変化が起き、ゴールへの道筋が見えているはずです。最初のセラピーで、カウンセラーにそれを提案してみるのも良いかもしれません。具体的な回数でセラピーの評価を行うことをあらかじめ決めておけば、カウンセラーにもクライアントにもコミットメントが生まれます。もちろん、振り返りの実施を拒否するようなカウンセラーとは、2回目以降のセッションを受ける必要はありません。
良質なカップルセラピーには必ず「信頼」があります
カウンセリングに対する信頼・パートナーに対する信頼・カウンセラーに対する信頼は、カップルセラピーには欠かせません。むしろそれがほとんどだと言っても過言ではないでしょう。いま現在それらが欠如していたとしても、今後それらを育むために自身が努力できるか、また信頼構築を適切にサポートできるカウンセラーかを確認しておくことは、セラピーの質を大きく左右します。